秋田県の共同研究のご提案

焦点可変機能を有する液晶レンズを用いたカメラシステムへの応用に関する研究

公開日 2020-04-24
大分類 情報通信技術 中分類 情報・通信・エレクトロ二クス 小分類 -
研究者

教授
河村 希典

所属

秋田大学 大学院理工学研究科 数理・電気電子情報学専攻

 液晶は分子配列の方向によって屈折率と誘電率等が異なり,電界や磁界により容易にその配向状態を制御することが可能である。液晶を用いた光学素子は小型,軽量,薄型,低消費電力駆動が可能であることから表示素子に広く用いられているが,ディスプレイ用途以外の液晶の応用が注目されている。これまで,液晶光学素子とする液晶レンズ,液晶マイクロレンズアレイ及びこれらを用いた光学機器への応用について研究を行っている。本研究は,機械的駆動部を必要とせず,焦点距離を変化できる液晶レンズをCCDカメラの焦点可変素子として用い,各焦点面での画像を局所統計量フィルタによる画像処理を行うことで,3次元画像を得ることに成功した。

 低電圧駆動型液晶レンズ(液晶層:液晶層: 40μm, 直径: 6.0mm, 液晶: MLC-6080)を用いたカメラシステムを図1に示す。ここで,被写体とするターゲットは,カメラシステムの光学軸とターゲットとのなす角が80°となるように傾けてある。ビデオレンズ先端に液晶レンズと偏光板を配置し,CCDカメラを用いて撮影を行った。ここで偏光板の偏光方向と液晶分子の配向方向が一致するように配置した。液晶レンズの各電極に電圧を調整し,連続的に焦点面を移動させた画像を撮影した後,局所統計量フィルタ処理を行った。この局所統計量フィルタは注目画素の周辺における明るさの分散値を抽出しているため,高い周波数成分だけでなく比較的低い周波数成分も抽出可能であり,各焦点画像間の同位置における光強度の値を比較することで合焦位置を求めることが可能となる。このことから各画素における合焦位置を判別できるため,抽出した合焦位置情報と撮影画像の情報(輝度値)により合焦位置情報を視覚化し,マッピングすることで合焦位置の分布画像を得ることが可能である[図2]。また,全ての位置で焦点の合った全合焦点画像を得ることもできる。さらに本システムは,実体顕微鏡システムにも応用することができ,3次元顕微鏡画像を得ることも可能である。本研究成果の実用化に向けて,企業との共同研究を希望する。

 

研究者                                                      

秋田大学 大学院理工学研究科 数理・電気電子情報学専攻 教授 河村 希典


          

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