公開日 | 2020-04-24 | ||||
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大分類 | グリーンイノベーション・ナノ・材料・ものづくり・情報通信技術 | 中分類 | 農林水産・食品・環境・資源・エネルギー・エレクトロ二クス | 小分類 | - |
研究者 |
准教授 |
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所属 |
秋田県立大学 システム科学技術学部 知能メカトロニクス学科 |
液晶回折格子は一般に入射光の偏光状態に依存して回折光の強度や偏光状態が大きく変化することから偏光センサーへの適用が期待されている。ここで,複数の回折光を同時測定し解析することによりワンショット計測のような高速な偏光解析が可能になり,さらに回折格子の分光機能を利用すれば偏光スペクトル解析への応用も期待できる。
我々はこれまで液晶回折格子を用いて入射光の偏光方向を評価する偏光計測光学系を提案し,これを用いて液体試料中の旋光物質濃度を定量する手法を開発した。(図参照)ここで,提案した光計測器は以下の特徴を有する。(a)偏光板の回転操作など光学素子の機械的な駆動作業を行わないため,ワンショット計測が可能となり迅速に測定することが可能である。(b)液晶回折格子の+1次光と-1次光の強度比(I+1/I−1)により偏光の角度を算出するため,外乱やレーザー装置の不安定性などによる光強度の時間的変動の影響を受けない。よって,安価なレーザーダイオードやフォトダイオードなどを用いた単純な光学系で高い精度が期待できる。(c)測定系を構成する電子部品や液晶回折格子は低電圧駆動が可能であり低消費電力である。そのため電池駆動が可能であり,携帯型測定器へ展開することが容易である。
また,本測定器において用いる液晶回折格子の配向状態をカスタマイズすることにより,任意の偏光状態の解析に対応する偏光計へと発展させることが可能である。よって,本測定器を農業・食品分野,環境分野,ヘルスケア分野など様々な領域における光計測システムへと適用することが容易となり,高い汎用性を有する。これらの分野において実用性の高い高機能偏光計測システムの実現を目指して企業との共同研究を希望する。
参考文献:Michinori Honma, et al., Japanese Journal of Applied Physics, 54(12) 122601 (2015).
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秋田産学官ネットワーク事務局
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