秋田県の共同研究のご提案

微小複合材料型はんだ試験片を用いたCu/Sn 系金属間化合物の引張特性評価

公開日 2016-01-26
大分類 ナノ・材料・ものづくり 中分類 機械・エレクトロ二クス 小分類 -
研究者

教授  
大口 健一

所属

秋田大学大学院理工学研究科物資科学専攻

微細はんだ接続部の強度信頼性を評価するには,はんだと銅電極の界面に存在し,Cu3SnとCu6Sn5から成るCu/Sn系金属間化合物(IMCs)層を考慮した有限要素解析(FEA)を実行する必要がある.そして,そのためには,Cu/Sn系IMCsの変形特性を把握することが必須となる.
現在までにも,Cu/Sn系IMCsの変形特性の調査を目的として,ナノインデンテーション試験やFIBで作製したマイクロピラー試験片を用いた圧縮試験が行われている.しかし,これらの試験で用いられるナノインデンターやFIBといった装置は非常に高価であり,一般的な研究室レベルで導入することは難しい.このため,Cu/Sn系IMCsの変形特性を調査することができる研究者の数は限られ,これがCu/Sn系IMCsの変形特性に関する情報が少ない現状を招いている可能性がある.また,上記のような圧縮試験では,FEAの結果に基づいてIMCs層におけるき裂発生の可能性の有無について検討するための情報を得ることができない.すなわち,き裂が開口しない圧縮負荷では,き裂が発生する変形量を調査することができない.したがって,Cu/Sn系IMCsの変形特性は,き裂を開口させる引張負荷で調査することが望ましい.
 
以上のことを踏まえて,試験部直径が0.5mmの微小はんだ試験片の外周に Cu6Sn5層,Cu3Sn層,およびCu層を設けた,微小複合材料型はんだ(MCS)試験片を作製し,その引張試験を実施することでCu/Sn系IMCsの引張変形特性を評価する技術を開発した.その特徴を以下に示す.
 
(1)MCS試験片は,一般的な研究室でも所有可能な装置で作製することができる(図1).
(2)引張試験は,少しの改良を加えた小型卓上試験機(図2)で実施することができる.
(3)MCS試験片の引張試験で得られる応力-ひずみ曲線(図3)から,Cu/Sn系IMCsの破断伸びを推定することができる.
(4)複合則に基づき提案した数値解法を,MCS試験片の応力-ひずみ曲線に適用すれば,Cu6Sn5とCu3Snの引張応力-ひずみ曲線(図4)を導出することができる.
 

本技術に関心をもつ企業からの問い合わせを期待している.

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