秋田県の共同研究のご提案

無機塩を分散剤として用いた新規カーボンナノチューブ分散法

公開日 2020-04-24
大分類 ナノ・材料・ものづくり 中分類 バイオテクノロジー・環境・資源・エネルギー・素材・エレクトロ二クス・航空・宇宙・基礎科学 小分類 -
研究者

准教授
松本 和也

所属

秋田大学大学院理工学研究科 物資科学専攻

カーボンナノチューブは高強度・高弾性率に加え、優れた熱伝導性や電気特性を示すことから、大きな注目を集めているナノ材料です。しかし、カーボンナノチューブは大きな凝集体として存在するため、応用の際には1本ずつにほぐして溶媒に分散させる必要があります。しかし、カーボンナノチューブは極めて凝集体を形成しやすく、溶媒への分散が困難であり、応用の際の大きな問題となっていました(図1)。

 

私たちはカーボンナノチューブの分散法を検討する中で、食品添加物にも使用されるような一般的な無機塩がカーボンナノチューブの分散剤として働くことを見出しました。この方法の大きな特徴は、従来法では困難であった様々な種類の一般的な有機溶媒にカーボンナノチューブを分散可能であることです。さらに、分散工程においてカーボンナノチューブが傷ついたり、特性が低下することもありません。カーボンナノチューブを有機溶媒に分散させることで、様々なプラスチックとの混合や、材料表面への塗布などが可能となります。また、無機塩、有機溶媒のどちらも毒性の低いものを使用することが可能であるため、医療分野などへの応用も期待できます。分散剤として使用する無機塩は微量であり、熱分解可能なものも使用できることから、不純物を嫌うエレクトロニクス分野での利用も期待できます。

 

実際にカーボンナノチューブ分散液を使用して、ポリスチレンとカーボンナノチューブの複合フィルムを作製しました(図2a)。カーボンナノチューブの凝集体は見られず、均一に混ぜ込まれていることが分かります。また、プラスチックフィルム上にカーボンナノチューブ分散液を塗布することで、透明導電性フィルムを作製することにも成功しました(図2b)。

 

本技術に関心を持たれた企業様との共同研究を希望しております。

 

研究者                                                 

秋田大学 大学院理工学研究科 物質科学専攻 准教授 松本 和也

 

 

 

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問い合わせ先

秋田産学官ネットワーク事務局
 E-mail:collabo-akita@mail2.pref.akita.jp