秋田県の共同研究のご提案

超音波による特殊反応場を用いたリチウムイオン二次電池用正極材料の合成および改善

公開日 2020-04-24
大分類 ナノ・材料・ものづくり 中分類 環境・資源・エネルギー・素材・基礎科学 小分類 -
研究者

教授
大川 浩一

所属

秋田大学 大学院理工学研究科 物資科学専攻

 電気自動車、ハイブリッドカーの駆動用電源として、リチウムイオン二次電池が使用されています。電池の大型化に伴い、資源量が豊富で電池性能が高い材料の開発が望まれています。特に鉄を主原料としたLiFePO4は高放電電圧(3.4V vs Li/Li+)、高理論容量(170 mAhg-1)であることから注目を集めている材料です。しかしながら、電子伝導性が低いという課題を有します。改善策として、微細粒子化やカーボンコーティングなどが施されています。

 

 我々は、超音波の化学作用を利用した機能性材料の合成を行っています。電池材料に関しては、LiFePO4の微細粒子合成や金属ナノ粒子(金やパラジウム)をLiFePO4/Cの表面に析出させる方法を検討しています。強力な超音波を溶液中に照射することで水が熱分解し、その結果、HラジカルおよびOHラジカルが生成します。そのどちらかを選択的に利用することで、還元もしくは酸化反応を利用することができます。還元反応を用いて金イオンから金ナノ粒子をLiFePO4/C表面上に合成するイメージを図1に、実際に合成した試料を図2に示します。この方法を用いると、凝集しやすい金ナノ粒子が、カーボン層内で分散して存在することがわかりました。

 

 超音波の化学反応を利用する魅力は、特殊な還元剤、分散剤、および界面活性剤を使用しないにもかかわらず、金イオンから金ナノ粒子がカーボン層内で合成できることです。また、超音波を用いた化学反応は微細気泡由来であるため過激ではなく、扱いやすいことも魅力の一つです。

 

 この方法で、市販のLiFePO4/Cに金ナノ粒子を付着させたところ、電池特性が改善し、より高い充放電電流に対応できるようになりました。また、パラジウム等の金属でも析出可能です。こちらは空気電池等への応用が期待できます。

 

 本技術ならびに超音波による粒子合成に関心を持たれた企業様との共同研究を希望いたします。

 

研究者

秋田大学 大学院理工学研究科 物資科学専攻

大川 浩一 (教授)

加藤 貴宏 (講師)

 
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問い合わせ先

秋田産学官ネットワーク事務局
E-mail:collabo-akita@mail2.pref.akita.jp