秋田県の共同研究のご提案

カドミウム(Cd)除去による動植物バイオマスの有効利用法

公開日 2020-04-24
大分類 グリーンイノベーション・ナチュラルイノベーション 中分類 農林水産・食品・環境・資源・エネルギー 小分類 -
研究者

准教授
頼 泰樹

所属

秋田県立大学 生物資源科学部

  本シーズはCdを蓄積したバイオマスから低コストで、かつ効率的にCdを除去するものである。この技術により今までCdを含むために、その廃棄処理が問題であったバイオマスを有機資源として利用することが可能となる。現在までに適用可能なものとして植物バイオマス(主として植物による土壌修復;ファイトレメディエーションにより生じる稲わら)および動物バイオマスとして海産物の内臓類について方法が確立できている。
  本法の概要は安価に調整できる希酸を用い、加熱、抽出処理を最適化することによりCdをバイオマスから完全に遊離させ、抽出液とともにCdをバイオマスから除去する。抽出液にはCd除去剤を加え、環境基準以下(5ppb以下)にまでCdを除去するものである。
  ファイトレメディエーションによる土壌修復は土壌からのCd除去について日本の独自技術としてほぼ確立されており国内にとどまらず世界での活用が期待されている。多量に生じる稲わらはCdを含むため焼却するほかないが、本法で稲わらを処理した場合、処理残渣はCdをほぼ含まず、Cd除去後の抽出液(キシロースを含む)と合わせセルラーゼ処理による糖化により、グルコースとキシロース溶液が製造することができ、バイオエタノールなどの原料とすることが可能である。
またホタテのウロやイカの中腸線など一部の海産物の内臓は、高濃度でカドミウムを含む。そのため、廃棄するには、産業廃棄物としての処理が必要となる。しかしこれらの内臓はタンパク含量が高く、養殖魚または家畜の飼料、および肥料としてきわめて有用である。これら海産物内臓を本法により処理した場合、処理残渣は飼料もしくは肥料として使用可能となる。抽出液は希酸処理により含有タンパク質のペプチド結合が切断され、アミノ酸が可溶化するため、Cd除去することで有機液肥などへの有効利用が考えられる。
  本法をベースとした有機資源の新たな活用について企業との共同研究を希望する。

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