公開日 | 2018-03-20 | ||||
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大分類 | 情報通信技術・ナチュラルイノベーション | 中分類 | 農林水産・食品・情報・通信 | 小分類 | - |
研究者 |
《研究代表者》 |
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所属 |
秋田県立大学システム科学技術学部情報工学科 |
高品質、高付加価値の果実の収穫適期判定は、樹木に着果した果実と品種ごとに定められたカラーチャートとの比較により行われている。これは感性情報に基づいた官能検査であり、判断基準は定量的に統一されていない。本研究では、屋外かつ樹上に着果した状態で果実の収穫適期を定量的に判定する“携帯型の収穫適期判定システム”の開発を実施している。
具体的には、画像情報を用いた色彩色差計測によりリンゴの果色判定に有用な特徴を導出し、生育状態との比較分析の結果から収穫適期を定量的に判定するための手法を開発した。農作物の品質判定装置の多くは選果場で使用されるものであり、樹上に着果した状態で判定を行うものは、現状、見当たらない。また、収穫作業は目視検査による定性評価であることから判定結果にはばらつきが生じる。収穫適期の定量評価は、経験や勘に頼らない高品質あるいは付加価値の高い農作物の生産支援に寄与する。
近年の国内農業では、農業就業人口の減少、就業者の平均年齢の高齢化が大きな問題となっており、これによって生じる様々な課題を解決するため、最先端の工業技術を農業分野へ応用する農工連携の動きが活発化している。本研究成果は、農工連携において、①農作物の収穫判断に係る目視判定(官能検査)の定量化、②屋外光変化に頑強な画像補正、③勘に頼らない農作業の知識化・自動化・省力化(熟練ノウハウの伝承支援)といった面で貢献が可能である。
スマートフォンやウェアラブルデバイスを対象とした携帯型収穫適期判定システムの開発(野菜・果樹・花き等、他品種への応用展開を含む)、新規就農者・非熟練者を対象とした技能教育・伝承ツールの開発などに関心のある企業との共同研究を希望する。また、農業分野にICT・IoT技術を積極的に応用していきたい方々との情報交換を希望する。
(参考文献)石井, 草田, 山根: 「色彩情報を用いた林檎の収穫適期に関する定量判定手法」, 電気学会論文誌C, Vol.137, No.9, pp.1209-1218 (2017.9)
秋田県立大学システム科学技術学部情報工学科 准教授 石井 雅樹
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