テラヘルツ(THz)波は周波数が0.1~30 THz (1THz=1012Hz)の範囲にある電磁波であり、プラスチックや半導体などを透過する特徴があるとともに、物質固有の吸収特性(指紋スペクトル)から様々な材料の識別も可能です。このような特徴から、近年では工業製品の非破壊検査での利用が期待されています。
我々はTHz帯で動作する液晶デバイスの高性能化を実現し、液晶デバイスを用いたTHz帯での位相計測システムを開発しました(図参照)。本技術は出力の高い連続波発振のTHz波による複屈折計測が可能であり、電波より高い分解能で可視光では不透明な材料のイメージングを実現します。さらに、THz帯で物質固有の吸収特性を示す材料が多いため、X線では困難な材料の識別への展開も期待され、電波、光、X線とは全く異なる検査が確立する可能性があります。
また、開発したシステムはシンプルな光路でノイズ・振動に強いという特徴があります。
本技術に関心を持つ企業があれば共同研究を希望します。
論文
Ryota Ito, et al., Japanese Journal of Applied Physics, 60 072007 (2021)
研究者
秋田県立大学システム科学技術学部知能メカトロニクス学科 助教 伊東 良太
秋田県立大学システム科学技術学部知能メカトロニクス学科 准教授 本間 道則
秋田県立大学システム科学技術学部知能メカトロニクス学科 助教 能勢 敏明
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